動作解析測定後

スピードスケートで測定を受けた方へデータやフィードバック動画の見方などについて紹介しています。

三次元動作解析の概要については以下の記事をご覧ください。

角度データの見方

関節角度について

スピードスケートで特に着目している関節角度について説明します。関節角度はそのまま人の関節の角度になっているのでわかりやすいと思います。グラフから動いている方向などがわかるように説明します。

膝関節屈曲角度

膝関節屈曲角度は膝が曲がったり伸びたりする角度を示しています。スピードスケートのストレートでの膝関節屈曲角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど膝が曲がり、下にいくほど膝が伸びる動きを示しています。大きくグラフが下がっている箇所が3つありますが、この時が一番膝が伸びているところであり、1歩の終わりを判断することができます。

膝関節屈曲角度は深く曲げるだけではなく、その後の動かし方がパフォーマンスに大きく影響を与える重要な項目です。

股関節屈曲角度

股関節屈曲角度は股関節が曲がったり伸びたりする角度を示しています。股関節が曲がる動きはももがお腹に近づき、伸びる動きはお腹から離れる動きをします。スピードスケートのストレートでの股関節屈曲角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど股関節が曲がり、下にいくほど股関節が伸びる動きを示しています。膝関節と同様に大きくグラフが下がっている箇所が3つありますが、この時が一番股関節が伸びているところであり、股関節からも1歩の終わりを判断することができます。

股関節屈曲角度は、特に縦蹴りになり足が後ろに流れている状態を確認するために見ています。次に紹介する大腿Pitch角度とともに確認することでより理解が深まります。

股関節外転角度

股関節外転角度は股関節が外側に開いたり、内側に閉じたりする角度を示しています。スピードスケートのストレートでの股関節外転角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど股関節が外側に開き、下にいくほど股関節が内側に閉じる動きを示しています。膝関節や股関節屈曲角度と同様に運動のパターンが周期的に起きており1歩の判断をすることもできます。

スピードスケートでは横に押す動きが重要であり、そのためには股関節外転角度をうまく使えているかが重要となります。股関節外転角度と骨盤Roll角度を合わせて確認することでどのように氷を押そうとしているか予測することができます。

オリエンテーション角度について

オリエンテーション角度は関節角度とは異なり、骨盤や大腿、下腿がキャリブレーションした位置からどれだけ傾斜しているかを示しています。厳密には少し差がありますが、基本的には地表面に対する角度を概ね示しています。こちらは関節角度よりグラフからのイメージがしづらいと思います。スピードスケートで重要な項目について説明していきます。

骨盤Roll角度

骨盤Roll角度は骨盤が左右に傾斜する角度を示しています。スピードスケートのストレートでの骨盤Roll角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど骨盤の右側が下がり、下にいくほど骨盤の左側が下がる動きを示しています。骨盤Roll角度でも周期的な動きは見られますが、選手による差が大きいため関節角度と合わせてデータを見ることが重要です。

股関節外転角度と合わせて確認し、骨盤の傾斜のみに頼った重心移動になっていないかを特に確認しています。

大腿Pitch角度

大腿Pitch角度は大腿(足のもも:膝から股関節)が前後に傾く角度を示しています。スピードスケートのストレートでの大腿Pitch角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど膝に対して股関節が後ろに位置し大腿が後ろに傾いている状態を、下にいくほど膝に対して股関節が前に位置し大腿が前に傾いている状態を示しています。そのため、0°が概ね垂直、90°・-90°が水平を示します。大腿Pitch角度でも周期的な動きは見られますが、こちらも選手による差が大きいため関節角度と合わせてデータを見ることが重要です。

大腿Pitch角度は股関節屈曲角度と合わせて足が後ろに流れていないかを確認するときに見ています。

下腿Pitch角度

下腿Pitch角度は大腿Pitch角度と運動の方向は同じで、見ている場所が下腿(足のすね:膝から足首)になります。そのため、下腿が前後に傾く角度を示しています。スピードスケートのストレートでの下腿Pitch角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど足首にに対して膝関節が後ろに位置し下腿が後ろに傾いている状態を、下にいくほど足首に対して膝関節が前に位置し下腿が前に傾いている状態を示しています。そのため、0°が概ね垂直、90°・-90°が水平を示します。大腿Pitch角度でも周期的な動きは見られますが、こちらも選手による差が大きいため関節角度と合わせてデータを見ることが重要です。

下腿Pitch角度は特に、着氷時などに足だけ前について重心が後ろに残っていないかを確認する際に見ています。

下腿Roll角度

下腿Roll角度は骨盤Roll角度と同様で、下腿が左右に傾斜する角度を示しています。スピードスケートのストレートでの下腿Roll角度のグラフを下の図で示しています。

下のグラフでは上にいくほど下腿が右側に傾き、下にいくほど下腿が左側に傾く動きを示しています。下腿Roll角度でも周期的な動きは見られますが、特に重要なのは0°をまたぐ瞬間であり、この時にブレードをインエッジに切り替えています。

下腿Roll角度は多くはスケートのブレードを返すタイミングを特定するために利用しています。

myoMOTIONソフトでのデータの見方

データの選択

myoMOTIONでデータを選択して、確認したいデータを選択していきます。

データを表示するためにはまず、上段のラベルの「Database」を選択します。

「Database」を開くと下の画面になります。

表示されたら、はじめに左側の「プロジェクト」の欄から今回の測定データが入っているものを選択します。

プロジェクトの作成をはじめとした測定手順については下記記事を見てみてください。

「プロジェクト」を選択したら、1つ右の欄の「被験者」からデータを表示したい被験者を選択します。

選択すると、さらにもう1つ右の欄の「レコード」から測定したデータを選択することができます。

選択すると下の画像のような表示されると思いますので見たいデータを表示していきましょう。

まとめ

三次元動作解析では、今回紹介した情報以外にも多くのデータが取得され確認することができます。選手ごとの課題や指導者の考えに合わせてデータを活用することが重要です。その中でも共通して検討できる項目について確認していきます。