飯塚智樹と申します。小学生から大学生までスピードスケートをしていました。大学では理学療法学科を足凝視、理学療法士免許を取得しました。その後は、急性期病院での臨床経験を積むと同時に、大学院進学を行い、スピードスケートに関する研究を進めてきました。
現役選手の経験と研究者としての活動のなかで、指導者側と選手の認識のズレや解釈の違いを感じることが多くなりました。
多くの選手は一生懸命しているつもりでも動きが改善できない。多くの指導者がアドバイスをしているつもりでも選手に理解されない。このような経験がないでしょうか。
このようなギャップの緩衝材としての立場を目標にしています。指導者と選手が共通認識を持ってさらなるパフォーマンス向上の手伝いがしたいと思っています。
群馬県吾妻郡嬬恋村出身。1996年生まれのネズミ年。
趣味は、キャンプ、ゴルフ、料理、日曜大工から割と多趣味です。
活動歴
大学に在学中、恩師とともに母校の大学生スピードスケート部を対象に医科学サポートの活動を開始しました。
氷上滑走での三次元動作解析や身体機能測定を通し、選手のパフォーマンスを医科学の面からサポートしています。
母校の大学生スピードスケート部に対する三次元動作解析、身体機能評価をルーチン化し、データの蓄積と測定方法の改善を実施しました。三次元動作解析で得られたデータの理解も深まり、より重要な項目に絞った測定を行うことで選手の負担を軽減することが可能となりました。
IMUを用いた解析に関する2題を、ISEK2020(International Society of Electrophysiology and Kinesiology)で発表
コロナ渦であり学会はオンライン開催で残念でしたが初の学会発表であり、多くの学びを得ました。
- Validation of inertial measurement unit for the quantification of knee joint kinematics during simulated speed-skate movements.
IMUの妥当性(測定値の正確性)についての検証し、高い妥当性が示された。
- Kinematics measurement of long-track speed skating performance using an IMU system.
スピードスケート滑走中に力学的データ(足底圧)と運動学的データ(関節角度)がパフォーマンスに与える影響について検証し高い関連性が示された。
IMUを用いたスピードスケート滑走中の解析について論文発表
母校の高校生に対してもIMUを用いた三次元動作解析をはじめとした医科学サポートの活動を開始しました。大学生との違いから共通の特徴など多くの学びを得ました。
IMUを用いたスピードスケート滑走中のイベント(着氷や離氷など)の特定方法についての下記論文を発表。
群馬県内ショートトラック選手への動作解析サポート開始
母校以外のスピードスケート選手に対する医科学サポートを開始しました。また、ショートトラックの測定を開始し、競技による特性の違いやスケート特有の共通する特徴など多くの学びを得ることができました。
データの蓄積、解析を通して新たな研究やサポート内容の検討
IMUを用いた信頼性に関する論文を発表
- Anaerobic power and kinematic characteristics during sliding are associated with performance in long-track speed skating.
スピードスケート選手の氷上滑走スキルと身体機能の両面からスピードスケートのパフォーマンスを予測した。 - Enhancing Speed Skating Performance: A Comprehensive Analysis of IMU-based Motion Phase Identification Reliability.
2020年に発表したIMUの妥当性(測定値の正確性)についての検証に続き、信頼性についても発表した。妥当性・信頼性をともに発表することができ、スピードスケートの動作解析の正確性を示すことができた。
2回目の学会発表となり、初の対面での発表を行いました。勉強不足を痛感するとともに多くの学びを得ることができました。また、人とのつながりが広がり新たな学びを得る機会が増えました。
学歴・職歴・競技歴
小学生~高校生までは嬬恋でスピードスケートを行いました。全国大会にも出場し、何とか入賞できるかできないかくらいのレベルでした。
大学入学後は理学療法学科としての学業と競技生活を両立させました。学業においても幸いスムーズに卒業し国家資格を取得することができました。競技生活においてはスランプ(グラグラ病:スピードスケート滑走中のジスキネジア)となり滑走フォームの再獲得に約2年間を要しました。このときに三次元動作解析できていたら良かったなと思っています。
スピードスケート滑走中のスキルとパフォーマンスとの関連に関する研究を大学院修士課程において行いました。研究としてはIMUシステムの併存的妥当性、イベント検知の妥当性、各イベントにおける関節角度とパフォーマンスとの関連を検証しました。
群馬県内の脳卒中をメインにリハビリを行っている急性期病院へ大学院進学とともに就職しました。理学療法分野の大学院生は就職し勤務しながら進学することが多いです。私の場合には研究分野と臨床分野は大きく異なりましたが、脳卒中患者における研究活動も実施、協力しております。
- Postural Instability Affects Coordination of Arm Movement and Postural Adjustment During Whole-body Reaching in Healthy Adults. ISPGR2022.
- Effects of postural instability on the coordination between posture and arm reaching. Human Movement Science. 2023.